101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが綴った、毎日の小さな喜びを大切に、前向きに悔いの残らない時間を過ごす生き方。エッセイ集『101歳。ひとり暮らしの心得』(中央公論新社)から幸せな暮らし方の秘訣を紹介します。

<生きていることが楽しくなる秘訣>

イヤなことは忘れる訓練をする

101歳も生きていれば、当然ですが、いいこともあれば、悪いこともあります。

幼いころに両親が離婚し、心満たされない子ども時代を過ごしましたし、戦争で婚約者を失いました。かなり気難しいところのある夫にも仕え、姑の自宅で介護も経験しています。

しかし私は、イヤなこと、つらかったことは忘れるようにしています。もう少し正確に言うと、忘れる訓練をしたのです。そうでないと、自分が救われないからです。

 

(写真:stock.adobe.com)

 

誰の心の中にも、つらい思い出やイヤな記憶はあるはずです。でも、ことさらそれを取り出して、「私はこんな目にあった」などと負の感情を反芻しても、もやもやとしたイヤな気持ちが蘇るだけで、いいことなんかまったくありません。

イヤなことを忘れるというのは、訓練によってけっこう習慣になるものです。私がこの歳でも日々楽しく、幸せに生きていけるのも、この訓練のたまものかもしれません。

【関連記事】
【101歳。ひとり暮らしの心得】母から「みっともない顔」と言われ卑屈になっていた自分。「どうせ私なんか」は努力しない逃げ場になっていたと気付いて
【101歳。ひとり暮らしの心得】「望みは小さく」。目の前の小さな目標に真摯に取り組む、その連続が生きること
【100歳の100の知恵】絶対に譲れないもの以外は譲り、ここぞというときに自分を通す。それが、人と摩擦を起こさず、自分らしさを失わずに生きるコツ
吉沢久子さんの連載「101歳。ひとり暮らしの心得」一覧